恢復が難しい状況の義父を見舞いに夫婦で行った時のことである。
妻が、やや苦しそうに眠る義父の脇に座り込んで手を握り続けた。
このいたわりの行動は私には思いもつかないことで、驚きと共に記憶に焼き付いている。
典型的な仕事人間であった義父に娘の手の温もりはどう感じられたであろうか。
震災、コロナ禍を経て、芸術の無力感に苛まれながら、この温もりのような作品のあり方を考えている。
(白濱雅也)
It was when my wife and I visited my father-in-law, who was having difficulty recovering.
My wife sat down beside her father sleeping slightly in pain, and she kept holding his hand.
This act of compassion was something I would never have thought of.
I was taken by surprise and the strong impression has stayed in my mind..
I wonder how the warmth of his daughter's hand felt to the father, as he used to be a typical workaholic man.
After the Earthquake and the Pandemic, I am tormented by a sense of powerlessness of art,
and however, I am hoping to express this warmth in my art works.
(Masaya Shirahama)
白濱雅也 Masaya Shirahama
1961年岩手県釜石市生まれ、多摩美術大学美術学部卒業。90年代より物語的な不条理絵画や立体を発表する。
震災後、鎮魂の意を込めた木彫に取り組みその後、既存の木像や油彩をリノベーションする作品に発展する。震災をテーマにしたグループ展「POST3.11」を企画、2014年、都美セレクショングループ展に選出され、東京都美術館で展示を開催、続編を原爆の図丸木美術館で開催し、2019年には本郷新記念札幌彫刻美術館でも開催した。その傍ら物語を添えた風景画などを模索している。
近年はメキシコ、中国など海外での活動を展開していたが、コロナ禍以降、オンライン動画サイト「北舟航海」に力を入れている。2014年より十勝在住、オルタナティブギャラリー ArtLabo北舟/NothernArk 主宰。
白濱雅也展「浄土 Pure Land」
Masaya Shirahama Exhibition[Pure Land]
2023.4.8(Sat)-4.22(Sat)
水曜休廊 Closed on Wednesday
白濱雅也 : 展示構成、写真、絵画, 素描, ビデオ&サウンドシンセサイザー
片平 仁(CGクリエイター): 3DCG@Fukushima
熊本年孝(ドローン音楽作家): ドローン音楽@Kagawa
佐々木健(ナレーター): ナレーション@Chiba
木箱(ミュージシャン) : ナレーション@Kuriyama
白濱真紀(美術家 コーディネーター): モデル、ナレーション
写真工房(写真ラボ) : フィルムスキャン@Obihiro