認知症の父と、アルバムを見ながら話す時がある。 記憶の欠如を援助する写真という存在を、 貴重に思う。
吉川直哉の「family Album」は、作者自身の家族写真を複写し、別の物語をつ くりあげた作品だ。
近親である他者と、眼を重ね内にはいり、作家は昭和を再び呼吸してい る。
それらを見る私たちは、自らの記憶に重ねあわせ、作品世界に遊び、迷い込む。
(企画 佐藤香織)
I sometimes talk with my father who has dementia, turning the pages of our family's album.
I feel it is precious to have photography as an aid to fill in our missing memories.
Yoshikawa Naoya's "Family Album" is the series that the artist created
by copying photos from his family’s album and used them to tell another story.
As he and his close relatives seem to have their eyes on each other, the artist is breathing the Showa era again.
Indulging in Yoshikawa’s world, we can revisit our own memories, play in another world, and get lost there.
(Curated by Kaori Sato)
どのご家庭のアルバムも同じだと思うのですが、いろいろな写真が貼ってあって、そのネガなどはほとんどないのが現実でしょう。
ぼくはそのあやふやさが記憶に似ていて、それら写真(貼られたプリント)は、記憶のあやふやさを補う物だと考えています。
最終的には、正確な記憶というものはなく、“想い出”が写真とともに織り綴られているのが、写真アルバムだと思うのです。
(吉川直哉)
吉川直哉 Naoya Yoshikawa
略歴
1961年 奈良県生まれ。
1984年 大阪芸術大学 芸術学部 写真学科 卒業
1998年~1999年 リトルギャラリーOSAKA参画(大阪市西区)
1989年~1995年 毎夏、Southampton Master Photo Workshopで学ぶ
(サウスパンプトン大学、アメリカ合衆国 ニューヨーク州)
1991年〜 ならフォトワークショップ企画立案
1992年〜 Young Japanese Photographers企画立案、運営(沖縄、北海道、奈良、ニューヨークにて14回開催)
1996年 大阪芸術大学 大学院 芸術文化研究科前期課程修了、修士号取得(芸術文化学)
2000~2001年 文化庁派遣芸術家在外研修/サウスハンプトン大学美術・メディア学部 客員研究員
(アメリカ合衆国、ニューヨーク州)
2001年 アンセル・アダムズ 写真センター 招聘講演(アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サンフランシスコ市)
2003年 東北アジア国際大学生写真作品コンペティション委員会参画(延辺大学、中華人民共和国吉林省延辺市)
2004年 チビテラ・ラニエリ財団アーティスト・イン・レジデンス5週間招聘フェロー
(イタリア ウンブリア州ウンベルティデ)
2012年 第4回大理国際写真フェスティバル 招待(中華人民共和国雲南省大理市大理古城)
2015年 秋吉台国際芸術村アーティスト・イン・レジデンス
2015年 フェローシップ・アーティスト(山口県美祢市)
2016年 大邱写真ビエンナーレ2016 芸術監督(大韓民国、大邱広域市)
2017年 よしとみフォトフェスティバル2017(京都府南丹市八木町) ※以降毎年参加
第7回大理国際写真祭 招待(中華人民共和国雲南省大理市)
第17回平遥国際写真祭 招待(中華人民共和国山西省晋中市平遥県平遥古城)
第18回ニューアート芸術祭 招待(ドイツ・ポーランド各地)※以降毎年参加
2018年 第7回国際写真プロジェクトZED招待(チェコ共和国ナホード市)
第18回平遥国際写真祭 招待(中華人民共和国山西省晋中市平遥県平遥古城)
延辺国際写真文化週間 招待(中華人民共和国吉林省延吉市)
仁川アジア海洋メディア祭2018招待(大韓民国仁川広域市) ※2019年共
2019年 三休橋筋通国際学生フォトフラッグプロジェクト プロデュース(大阪市)
葛城アート2019参画(奈良県葛城市)
個展
1983年 コダック・クワダ・ギャラリー(大阪府大阪市)
NHKギャラリー(奈良県奈良市)
1985年 ピクチャー・フォト・スペース(大阪府大阪市)
1988年 心斎橋SONYグリーン・ガーデン(大阪府大阪市)
リトル・ギャラリーOSAKA(大阪府大阪市)
1990年 ギャラリー・クォーレ(大阪府大阪市)
1994年 ギャラリー・イシス(京都府京都市)
1995年 ギャラリー・イシス(京都府京都市)
Fine Arts Gallery Southampton College, L.I.U. (アメリカ合衆国 ニューヨーク州)
Avram Family Gallery for Fine Arts(アメリカ合衆国 ニューヨーク州)
ギャラリー・アート・グラフ(東京都中央区)
ピー・バンク・ギャラリー(北海道札幌市)
1998年 クオヅコ芸術文化センター(ポーランド ドルヌィ・シロンスク、クオヅコ)
1999年 グダニスク美術大学ギャラリー(ポーランド、グダニスク)
ウォームジャ芸術文化センター(ポーランド ポドラシェ、ウォームジャ)
2000年 フォトギャラリー051(大韓民国、プサン)
ギャラリーLUX(大韓民国、ソウル)
2002年 新宿ニコンサロン(東京都新宿区)
大阪ニコンサロン(大阪府大阪市)
2004年 チビテラ・ラニエリ・センター(イタリア ウンブリア州ウンベルティデ)
2006年 スタジオ・アーカ(大阪府大阪市)
2008年 ぎゃらりーきょうばて(奈良県奈良市)
2010年 ギャラリー・アーティスロング(京都府京都市)
2012年 銀海山水間(第4回大理国際写真フェスティバル、中華人民共和国雲南省大理市)
2014年 ギャラリー・アーティスロング(京都府京都市)
2017年 文庙展区负一层(第7回大理国際写真フェスティバル、中華人民共和国雲南省大理市)
棉纺织厂2楼(第17回平遥国際写真フェスティバル、中華人民共和国山西省晋中市平遥県)
受賞・顕彰
第5回日本グラフィック展写真部門協賛企業賞
クオヅコ芸術文化センター顕彰(ポーランド共和国)
延辺大学芸術学部 顕彰(中華人民共和国)
第7回大理国際写真連盟主席大賞受賞(中華人民共和国)
作品収蔵
インド写真芸術センター(ムンバイ)、日本写真図書館(アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク市)
西安美術大学(中華人民共和国陜西省)、延辺大学芸術学院(中華人民共和国吉林省)
塩江美術館(現・高松市塩江美術館)、クオヅコ芸術文化センター(ポーランド共和国)
グダニスク美術大学(ポーランド共和国)、ウォームジャ芸術文化センター(ポーランド共和国)
国立博物館 ウォームジャ分館(ポーランド共和国)、ポズナン美術大学(ポーランド共和国)
スウビツェ芸術文化センターGALERIA OKNO(ポーランド共和国) ほか
著作・作品集
動の国(1985年10月、自家版)
森の記憶(1998年10月、自家版)
Tomorrow is Today(1999年11月、Tomorrow is Today展実行委員会刊、共著)
Naoya Yoshikawa(2012年10月、自家版)
Seeing Oneself(2012年9月、Seeing Oneself日本展実行委員会刊、共著)/
Naoya Yoshikawa Family Album(2014年10月、自家版)
わたしたちの仕事(2015年3月、共著)
Family Album1961/2017(2018年10月、57部限定ZINE)
Tomorrow is Today(1999年11月、Tomorrow is Today展実行委員会刊、共著)
Naoya Yoshikawa(2012年10月、自家版)
Seeing Oneself(2012年9月、Seeing Oneself日本展実行委員会刊、共著)/
Naoya Yoshikawa Family Album(2014年10月、自家版)
わたしたちの仕事(2015年3月、共著)
Family Album1961/2017(2018年10月、57部限定ZINE)
Artist HP https://www.naoyacamera.com/
吉川直哉展「Family Album」
Naoya Yoshikawa Exhibition [Family Album]
2020.10.12(Mon)-10.24(Sat) 水曜休廊 / Wednesday Closed
12:00-19:00 Lastday-17:00
※5.26(Tue)初日予定でしたが、再延期しました。